続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

減りゆく常備軟券

減りゆく常備軟券

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 ここ1~2年でJR東日本管内でこういったA型の常備軟券を発売する駅が急減しています。常備軟券は予め印刷されているきっぷに日付印を押すだけで発券でき、発券にかかる作業は簡便です。逆に在庫管理や売り上げ管理が煩雑で、一度欠札が発生すると補充まで時間がかかります。自動改札には通りません。JRからすると厄介者で、一刻も早くなくしたいと考えるのは理解できます。

 私が調べた限り、平成26年の年初時点でJR東日本管内の常備軟券発売駅は21駅ありました。

  • 盛岡支社:6駅
  • 秋田支社:3駅
  • 長野支社:11駅
  • 千葉支社:1駅

 なぜか長野支社管内が突出して多いです。あくまで私の主観ですが、長野は自分たちの地域の駅は自分たちの手で何とかしようという意識が強い土地柄で、町や村によっては1日何十人しか利用しないような駅でも簡易委託できっぷを売っていたりします。そのため、簡易委託駅でよく使われている常備軟券が多く残っているんだと思います。

【平成26年以降常備軟券の発売を終了した駅】

  • 岩泉線・岩泉路線廃止(平成26年3月末)
  • 釜石線・宮守:無人化(平成26年3月末)
  • 羽越線・本楯:無人化(平成26年3月末)
  • 花輪線・八幡平:無人化(平成26年5月末)
  • 飯山線・上今井:無人化(平成26年7月末)
  • 飯山線・替佐:POS端末導入(平成27年3月1日)
  • 信越線・古間:無人化(平成27年3月12日)
  • 飯山線・信濃浅野:POS端末導入(平成27年3月?日)
  • 五能線・鶴泊:無人化(平成27年3月末)

 路線が廃止になった岩泉と第三セクター移管直前に無人化された古間は仕方ないですが、平成26年以降9駅で常備軟券の発売を終了しています。

【今年9月現在も発売している駅】

  • 山田線・陸中川井
  • 田沢湖線・羽後長野
  • 羽越線・上浜(10月末で無人化予定)
  • 羽越線・小砂川(10月末で無人化予定)
  • 鹿島線・鹿島サッカースタジアム(臨時駅)
  • 中央線・信濃境
  • 中央線・小野
  • 篠ノ井線・冠着
  • 大糸線・有明
  • 飯山線・信濃白鳥
  • 飯山線・平滝
  • 飯山線・横倉

 この記事作成時点で発売しているのは12駅です。そのうち、上浜・小砂川については10月末で無人化されることが発表されています。また、信濃境・冠着・有明については今年度中にPOS端末が入り、常備軟券の発売は終了する見込みと聞いています。さらに飯山線3駅も一日の利用者数が10~20人程度なので、無人化を含め予断を許さない状況であると言えます。

 常備軟券を発売しているのはほとんどが簡易委託駅です。そこできっぷを売っているのは自治体から依頼を受けた国鉄OBや地元の老人会であったりで、高齢者率が高いです。

 おそらく常備軟券の引き上げにあたり、JR東日本はPOS端末への移行を打診したと思われますが、高齢者だと機械にはどうしても苦手意識があり、機械化は容易に受け入れがたいものなんでしょう。

 なお、JR東日本ではPOS端末を借りるのに月数万円の使用料が発生するそうなので、端末の使用料と売り上げを天秤にかけ割に合わないと判断し、無人化を選択する受託者がもいると思われます。ちなみに、JR東海は簡易委託駅で使用するマルス端末は無償で貸し出しているそうで、受託者の意欲と体力さえあればきっぷの発売は継続できるようになっています。そこは会社としての考え方の違いだと思います。

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 さて、私も今さらのように危機感を感じ、最近これらの駅を少しずつ回っています。同じようなことを考えている人は案外いるようで、安いきっぷから売り切れが出始めています。近い将来にPOS化や無人化が予定されているようであれば欠札の補充はないかもしれないので、懸案は早めにクリアしておいた方がよさそうです。

【補足:2020/8/26】

 今年に入り最後まで常備軟券を発売していた鹿島サッカースタジアム駅での発売が終了したとのことで、これによりJR東日本管内から常備軟券が消滅したことになります。