続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

緑色のはやぶさ

はやぶさ(新幹線)

◆種別:新幹線

区間:東京~仙台・新青森

Hayabusa2 E5hayabusa_LED

 今年3月5日から東北新幹線・東京~仙台・新青森間で「はやぶさ」が走り始めました。当初は東北新幹線新青森開業に合わせてデビューの予定でしたが、開業が昨年12月に早まったため4ヶ月ずれこんでのデビューとなりました。本数は1日3往復で、最高時速300Kmで東京~新青森間を3時間10分で結びます。将来的には320Kmにまで上げられ、3時間05分に短縮するそうです。(ただし、現在は東日本大震災の影響で那須塩原~盛岡間で減速運転されており、4時間15分ほどかかっています。)

 「はやぶさ」は全車指定席である上に東北新幹線の最上位列車として、東海道・山陽新幹線の「のぞみ」・「みずほ」と同様に加算料金が発生します。加算料金は東京~仙台間で300円、東京~盛岡間で500円かかります。もっとも、300Km運転するのが宇都宮~盛岡間なので、東京~大宮間および盛岡~新青森間のみ利用の場合は加算料金はかからず「はやて」と同額です。

Glanclass (グランクラスシートのモックアップ

 また、大きな話題となったのはグリーン車のさらに上位クラスである「グランクラス」が設定されたことです。「グランクラス」は10号車(新青森寄りの先頭車)の18席で、新たに開発した本革製の電動リクライニングシートに、専属のアテンダントが軽食やフリードリンクのサービスを行います。グランクラス料金はグリーン料金+5000円です。その上、ジパング株主優待などの割引は適用されません。

 ただ、最初に「はやぶさ」という愛称を聞いたときは「え゛???」と思いました。鉄ヲタ的には「はやぶさ」は九州の印象が強すぎます。

 私が大学入学まで育った名古屋には盆暮れは九州にある親の実家に帰省する同級生が結構いました。ちょうど親が「金の卵」として中学・高校卒業後に集団就職で九州から東海地方の工場集積地帯に働きに来ていた世代です。彼らの多くは寝台列車で半日以上かけて帰省した記憶を持っており、鉄ヲタでなくとも寝台列車に対して一定の思いを持っていました。

 そういった人たちにもそれぞれの思い出があったであろう「九州へ行く『はやぶさ』」を廃止後たった2年で青森へ行く新幹線の愛称に転用してしまう神経が理解できませんでした。個人的にはもう再利用せずに、九州へ行く列車の愛称として記憶の世界から呼び戻さないで欲しかったです。

E5+E2 (E2系と並ぶE5系)

 車両は新たに製造したE5系でした。新型高速新幹線車両導入の布石として、JR東日本は平成17年に試験車両”FASTEC 360”を製造し、高速化へ向けての騒音や車体の揺れや静粛性など各種試験を始めました。”FASTEC 360”は両先頭車の形状が異なっており、E2系をシャープにしたような「ストリームライン」とN700系の重心を下げて引き延ばしたような「アローライン」がありました。個人的には「ストリームライン」ならデザイン的にアリだなと思っていました。

Hayabusa1 (新青森駅

 その後発表されたE5系のデザインを見て面食らいました。先頭車の形状は「アローライン」が採用され、E2系と700系とN700系の悪いところを繋ぎ合わせたようなデザインに見えました。それに塗色は”FASTEC 360”より明るい緑色のメタリック上半分にピンクのラインです。個人の捉え方にもよりますが、あまりのイケてなさにこのデザイン会社のセンスはありえないな…とさえ感じました。

 少なくとも新幹線「はやぶさ」に対して好印象はなかったんですが、乗りもせずに批評するのは主義に合わないので、余っていた株主優待券の消化も兼ねて乗りに行くことにしました。

 発売日の10時打ちで運転初日の5号のグリーン車が取れていたんですが、当初はグランクラス狙いでした。仙台止まりの5号だったら取れないかな…と期待したんですが、あっさり撃沈しました。その日のヤフオクには1・3・4号で1枚、5号で3枚のグランクラスの指定券が出品されていました。1号の指定券は43万円(定価は16500円)になったそうです。もし、私が43万円持っていたら違う使い方をしますけど…。

F0478 

 私は結局「えきねっと」で3号指定席通路側→3号指定席窓側→1号指定席B席→1号指定席C席→1号指定席D席と変更をかけました。1号の空席は2~3日前になって少しずつ出るようになりましたが、窓側は直前になっても取れませんでした。

 当日は微妙に寝坊してしまい、東京駅に着いたのが発車の3分前でした。ダッシュで新幹線ホームに上ったところ、ちょうど折り返しとなる「はやぶさ2号」が到着したところで、これ幸いでした。しかも、ホームで撮影していた爺さんがホーム下に転落したらしく、1号は7分遅れて発車しました。いい年して迷惑な爺です。

E5seat (E5系普通車の座席)

 新車だけあって走り出しは静かでした。走り出してからも揺れが少ないように思いました。座席の硬さは硬すぎず柔らかすぎず座り心地はよかったです。座席をゆっくり倒してみると良さがわかります。また、座面スライド機構はE2系でもありますが、枕部分の上下スライド機構は普通車では初だと思います。窓側席にはコンセントがあります。

         東京     仙台       盛岡     新青森

はやぶさ1号 8:12 → 9:48/50 → 10:32/33 → 11:22

 東京駅を発車時点で座席がほぼ埋まりましたが、大宮駅で降りる人もちらほらいました。宇都宮以北から時速300Km運転が始まりましたが、体感的には「言われてみればいつもよりちょっと速いかも…」という程度で、さほど大きな違いは感じませんでした。

 7分遅れで東京駅を発車したものの、発車直後のアナウンスでは大宮・仙台:5分、盛岡:1分の遅れ予想で、新青森には定刻で到着予定と案内されました。私の時計では仙台駅を4分遅れで発車し、盛岡駅には1分遅れで到着しました。仙台~盛岡間を39分で走ったことになります。時速に換算すると282.3Kmになります。

 これで新青森駅へ定刻に着けば東京~新青森間を3時間03分で走破したことになり、320Kmに最高速度を上げられた時より速いという計算になるはずでした。ところが、二戸駅を通過したあたりで急ブレーキがかかって停車しました。車内がざわつく中、何事かと思いましたが子供がトイレの非常ボタンを押したため急停車したとのことでした。このトラブルのせいで残念ながら新青森駅には3分遅れで到着しました。昔は東京から盛岡まで3時間ほどかかっていましたから、ずいぶん速くなったものです。

Hayabusa3 (新青森駅に到着した「はやぶさ1号」)

 愛称と車両の外観はいまだに好感を持てませんが、移動手段としては快適なものでした。今後はE5系を追加投入して「はやて」を「はやぶさ」に置き換えていき、最終的に「はやて」を廃止にするそうです。ただ、盛岡に住む後輩は「東京まで500円上乗せになって、(所要)時間は10分も変わらないんですよね?だったら使うか迷いますねぇ…1回は乗ってみたいと思いますけど」と言っていました。鉄ヲタ的視点ではあまり気になりませんでしたが、一般人の費用対効果から勘案すると「はやぶさ」の加算料金は理解が得にくいのかもしれません。「はやぶさ」が東北新幹線の主力となる頃には見直しがあるのかもしれませんが…。