続・吾輩はヲタである

JR券をメインとしたきっぷのブログ

都区内パス(Suica版)

 9月1日よりSuicaで利用できるトクトクきっぷが4つ設定されました。「都区内パス」・「ヨコハマ・みなとみらいパス」「鎌倉・江ノ島パス」は紙のきっぷとの併売で、Suica専用の「休日おでかけパス」相当のきっぷとして「のんびりホリデーSuicaパス」が新たに発売されました。

 東京メトロや都営ではPASMOに一日乗車券を乗せて発売していますが、ICカードに乗ったトクトクきっぷはJRグループでは初めてです。

 利用できるSuicaはJR東日本で発行され、記念デザインではない通常デザインで、定期券情報が乗っていないものが対象になります。定期券情報が乗っていなければ記名式の「MySuica」でもOKです。逆にSuicaを名乗っていても「りんかいSuica」や「モノレールSuica」といった他社発行のものや「モバイルSuica」(補足参照)は対象外です。

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指定席券売機のメニュー 2019/9/26

 指定席券売機の「おトクなきっぷ」のメニューの一番下に「ICカードのおトクなきっぷ」というメニューが追加されています。これを選択し、発売条件を満たすSuicaを券売機に挿入します。

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決済方法の選択 2019/9/26

 きっぷと乗車日を選択し決済画面に遷移すると、Suicaのチャージ残額からの引き落としか、クレジットカードで別途決済するかが選択できます。

 ちょっと実験をしたかったため新規のSuicaを調達しておき、クレジットカード決済で「都区内パス」を乗せてみました。

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 券面にはこのように印字されました。概ね紙のきっぷの情報を踏襲しているように見えます。紙のきっぷと比較してみます。

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きっぷの都区内パス

 Suicaの最下段に印字されている「MySuica」の使用者情報を避けるため、発売日や発売箇所の情報が下段から右側に寄っています。また、R通番や券番が窮屈な感じに左に寄っているのは極力Suicaペンギンの上に印字しないよう配慮したのかもしれません。

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紙のご案内券

 券面に「ご利用方法はご案内をご覧ください」とあるとおり、ご案内券も出てきます。せっかくきっぷ本体はSuicaに移行したのに、ご案内券は紙で出てくるのは滑稽でした。画面上でご案内券に記載されている内容を確認させて、OKを押させる方式じゃダメなんですかね?


 ここからは実験編です。きっぷヲタゆえ、他社を含めICカードに乗った割引きっぷを利用するのは初めてだったので、どういう挙動をするのか興味がありました。

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フリーエリア内入場時の残額表示

 まず最初にフリーエリア内の渋谷駅から入場しました。改札機のディスプレイには残額とともに「企画券利用」とその有効期限も表示されました。こういう表示になるんだとちょっと感心しました。

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渋谷→大宮の利用履歴(2行目)

 そして、そのままエリア外の大宮駅まで乗り越したところ、都区内北端の浮間舟渡~大宮間の運賃220円が自動精算されました。浮間舟渡からの種別は「企」となるようです。

 JR東日本のSuicaエリアではきっぷとICカードの運賃が異なりますが、220円という運賃帯については両者同額です。なので、どちらの運賃で精算されたのかはこの実験だけでは分かりません。

 今度は大宮駅から都区内パスのフリーエリアを通過して、フリーエリア外の総武線・市川駅まで乗り越しました。運賃は以下のとおりとなります。

◆大宮~市川

  • きっぷ:730円
  • ICカード:726円

◆大宮~浮間舟渡(東京都区内北端)

  • きっぷ・ICカードともに220円

◆小岩(東京都区内東端)~市川

  • きっぷ:140円
  • ICカード:136円

 大宮~市川間は通しで購入するよりも、「都区内パス」を間に挟んで大宮~浮間舟渡と小岩~市川を別々に精算した方が安くなります。

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大宮→市川の利用履歴(4・5行目)

 その結果の利用履歴です。大宮~市川間で途中下車はせず直行しましたが、このとおり利用履歴は2行に分かれました。小岩~市川間の運賃が136円になっているため、ちゃんとIC運賃で引き落とされていることが分かります。


 ICカードにフリーきっぷを乗せるメリットとしては、2つあると思っています。1つは私がやったようにエリア外へ乗り越した場合、チャージ残額から引き落とされ精算する必要がないことです。2つ目は最近大増殖しているIC専用改札でも通れることです。他社でも設置が増えていますが、その中でもJR東日本は極端で、自動改札が7~8通路あってもきっぷが通せるのは1~2通路しかないことが珍しくありません。

 JR東日本では「都区内・りんかいフリーきっぷ」や「鎌倉・江ノ島フリーきっぷ」といった発駅からの往復+フリーエリアがセットになったフリーきっぷがほぼなくなりました。「都区内パス」や「鎌倉・江ノ島パス」がフリーエリア外での事前購入やモバイルSuicaでも購入できるようになれば、チャージ残額を利用してフリーエリアと行き来できるため、なくなったフリーきっぷの代替になります。そのへんの改善も期待したいです。

www.imadegawa075.net

【補足:2024/2/18】

 2022年3月からモバイルSuicaのアプリ内で「都区内パス」を始め4つのフリーパスが購入できるようになっています。

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